ある娯楽機器開発を行っている会社のM社長は、大のコンサル嫌いだそうです。

きっと過去に痛い目にあったのだと思います。

弊社もお客様を回っていて、時々言われるのが、「以前に何度かコンサルを入れたことがあるんだけど、うまく行かなかったんだよね。言いたいことだっけいって後は自分でやれみたいな感じが多いよね。」

まあ、過去の多くのコンサルタントのお蔭で、マイナスのイメージが残されていてとても残念ですが、実際にお客様といっしょに走って、成果を上げていくしかないと、名誉挽回と信頼を積み上げていくために日々奮闘しています。

さて、前述の社長、コンサルは嫌いでも、社員教育にはとても熱心で教育への投資は惜しみません。

そのやり方が独特なので、ここで紹介しておきます。

製品開発のコンサルをやっていたG社は、コンサルとしてのオファーは断られたのですが、通信教育のプログラムを持っていたのでそれを提案したところ、社員向けの通信教育を受注することができました。

ただ、このときの社長のやり方は、まず、社員個人がこの教育プログラムの費用を負担してこの通信教育を受けさせたのです。

そう個人負担です。そして、「きちんと最後までやりきって卒業したらお金を会社が支払う。」というものでした。

この方法、G社からみての驚きは、社員さんたちの通信教育への取り組みが他には見れないくらい積極的で、添削に送られてくる解答用紙からは必死に参加する意思が読み取れ、全員が期間中に見事に卒業されるのだそうです。

教育効果が高まることは明らかですね。単にお金を取り戻したいから、という動機も否定はできませんが、自分を伸ばすのは、まずは「個人」のためであって、そのために自分に投資をさせる、という考え方が身に付きます。そして成長した自分が会社にその力を還元できる状態になったことに対して、会社からお金を戻してもらえるという構造です。

M社は、娯楽機器業界でトップランナーを持続している開発会社です。

ここにはいくつかのポイントがあります。

まずは、トップの社員育成への情熱です。
社員成長が、企業の成長につながるというトップの意思が会社に浸透しています。

そして自己責任という基本方針です。何でもかんでも与えればいいというのではなく、結果に責任を持たせるという、これも一つの教育方針なのかもしれませんが、会社と個人をできるだけ平等の立場で関係を維持しようという姿勢がうかがえます。

会社経営にとって、個人の成長は本当に重要な要素ですが、与えるだけでは本当の成長は望めません。
個人の強い意志、責任感を育てるのもトップの責任かもしれません。