優秀なプロジェクトマネージャー(PM)をどうやって継続的に育てるか?

製品開発組織において、プロジェクトマネージャーのスキルや能力によって、製品のQCDを守ることだけでなく、企業組織の体質、ひいては収益にも影響が出てくるのですが、優秀なプロジェクトマネージャーは育成が困難です。どうやって優秀なプロジェクトマネージャーを継続的に生み出せるかを知りたい。

 

日米の製造業企業で、30年にわたり製品開発のプロジェクトを成功させてきた経験から、多くの企業でプロジェクトマネージャーの育成に関する誤解や間違った考え方あることがわかっています。

プロジェクトマネージャー(PM)の育成は、

  1. PM職を技術専門家と明確に分離して戦略的に育てる
  2. PM候補を組織化し、手本となるプロのPMとのペアで育成する
  3. 背中を見せる、計画的な教育、OJT、インセンティブを仕組み化する

によって継続的に優秀なPMが生まれる体制を作ることが出来ます。

 

 

プロジェクトマネージャー育成における誤解

トヨタのチーフエンジニア(主査)が、超一流のプロジェクトマネージャーであるということは、多くの人が知っていることだと思います。

ただし、トヨタのチーフエンジニアは、単なる開発プロジェクトのリーダーであるのではなく、企画、設計、製造、購買、販売、サービスというバリューチェーン全体に責任を持っており、担当車種の収益責任まで持っているスーパーマンです。

多くの企業では、事業責任者を置き、そこにバリューチェーンの各責任者を複数置くことで、事業を継続するというのが普通のやり方で、製品ごとのバリューチェン全体の責任を一か所に集めることは行っていません。

トヨタのチーフエンジニアを育成、チーフエンジニア制の導入は普通の企業ではかなりハードルが高いと言わざるを得ません。(「トヨタ式リーン製品開発とは」参照)

多くの企業では、製品開発という限定された範囲で、QCDに責任を持つプロジェクトマネージャーというのを置くのが普通の考えですよね。

ただし、製品開発という限られた範囲であっても、その責任を全うすることだけでも、たやすいことではありません。また、プロジェクトマネージャーが製品開発のQCDに非常に大きな影響を持つことも間違いのないことです。

しかしながら、競争の激化、市場における多様性の広がり、IT技術の進化による製品システムの複雑化などによって、プロジェクトマネージャーの仕事も複雑で困難なものになっています。

そんな中で優秀なプロジェクトマネージャーを継続的に生み出すことは、企業にとっても重要課題であるはずだと思うのですが、日々の開発に追われてなかなか進んでいないのが実情ではないでしょうか?

日米の複数企業で、プロジェクトマネージメントの実態をみて、多数のプロジェクトマネージャーを育成してきた経験から、プロジェクトマネージャー育成における誤解についてお話をしたいと思います。

 

プロジェクトマネージャーは技術の専門家とは区別すべき

多くの企業では、プロジェクトマネージャーを優秀な開発技術者から選別しようとしています。

技術者として、製品開発の一部を経験してきたことは、プロジェクトマネージャーにとっても有益なことなのですが、専門技術を深めることと、プロジェクトマネージメントのプロになることは全く違うことです。

10年、あるいは15年くらいの間、ある技術領域の専門家として働かせて、そろそろプロジェクトマネージャーをやってみろと指名して、やれPMBOK(プロジェクトマネージメントの知識、ノウハウを体系化したガイド)を勉強しろなどと、そこからプロジェクトマネージメントの勉強をさせたりします。

日本企業のキャリアパスの考え方が、組織の中で優秀な人をステップアップさせていくということなので、技術者としてある専門技術を担当する組織に配属され、そこで経験を積んで、専門組織のチームリーダーになり、さらに経験を積んで専門機能組織の課長、そして技術部門の部長となるキャリアパスと、専門組織のチームリーダーからプロジェクトマネージャーになって、そこから技術組織の管理職になったり、事業推進組織に進んだりするのが一般的なのではないでしょうか。

日本と欧米の違いでよく議論されるのことで、日本的な終身雇用に基づくキャリアパスと、欧米流の必要な時に必要なプロフェッショナルを採用するという形との違いがあります。

アメリカ企業では、経営者へのキャリアアップを考える人は、専門分野の学位を取ったあとにMBAを取得してから就職します。

要するに初めから、経営のプロとして専門分野と経営学とを併せ持って社会人としてのスタートを切るわけです。

プロジェクトマネージメントも同様で、プロジェクトマネージャーを目指す人材は、学生時代にプロジェクトマネージメントを知識として学んで、企業での実務経験を経てプロジェクトマネージャーのプロになっていきます。

社会人になって10年以上だってから、お前はプロジェクトマネージャーに向いてるかもしれないから、今から勉強してしっかりやれ、というのが多くの日本企業の実態です。

もちろん知識だけでは、優秀なプロジェクトマネージャーにはなれませんが、プロフェッショナリズムを理解しないうえでプロジェクトマネージャーを育てるのは、少し手遅れなやり方だと言わざるを得ません。

トヨタのチーフエンジニアも、IBMの上級マネージャーも、入社直後からその道を目指す人間を選別して、育成し、適正な人間を選りすぐっていきます。

製品開発者のプロを育てることと、プロジェクトマネージャーを育てることを明確に分けること、適正を正しく見極めて、早い段階でプロジェクトマネージャーとしての知識、OJTによるトレーニングをしていく考えが必要だと思います。

 

会社独自のやり方を教えるのではなく本質を考えさせる

会社の文化やDNAを継承していくことは大事なことです。

しかし、変化の激しい時代に、会社独自のやり方に拘っていると競争に勝てなくなります。

また、長い間内向きな仕事を続けている組織は、外の世界から取り残されていくでしょう。

製品単体で顧客満足が得られなくなり、また、既存事業にしがみつくだけでは生き残ることすら難しくなっている時代です。

オープンイノベーション、協業ということを考えて、自社で出来ないことを積極的に取り入れて、会社の枠を超えて新しい製品開発、事業開発をしていくために、プロジェクトマネージャーも当然、進化していかなければなりません。

会社伝統のやり方を教えるのではなく、なぜ、今のやり方でやっているのか、なぜ、今のやり方が優れていると考えていたのか、新旧のプロジェクト関係者が一緒に考えていくべきことです。

大事なことは、プロジェクトマネージメントの手順やプロセスを引き継ぐのではなく、プロジェクト成功のための本質的な方法を創造していくことなのです。

だから、”やり方”を伝えることから、”考えて実行する”ことを教えるようにしたいものです。

論理的な思考力、なぜなぜと疑問を追及していく力こそ、プロジェクトマネージャーとして必要な資質だと思います。

プロジェクトマネージメント協会(PMI)の出すPMBOKを学ばせ、PMPの資格取得を推奨することも無駄だとは言いませんが、プロジェクトマネージメントに必要なのは、正しい行動を取ることであって、知識だけでなく、センスや考える力が絶対に必要なのです。

知識、行動力、考える力(センスを言い換えてみた)をバランス良く育てる仕組みが必要だと思います。

 

 

プロジェクトマネージャーに必要な資質

 

製品開発、技術開発のプロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダーと呼ばれる人に求められる資質は何かを様々な角度から見ていきたいと思います。

プロジェクトを成功に導くために、知っておかなければならない知識がどんなものか、成功している企業のプロジェクトマネージメントとはどんなものか、そして行動力や考え方の面から見ていきます。

 

必要な知識体系

PMBOKの第7版への改定が、2020年第4四半期の予定が遅れているようですが、第7版は第6版から大幅な変更になるようで、プロセス重視から原理・原則重視にシフトしていくと言われています。

まだ、内容を見たわけではありませんが、これまでのプロジェクトマネージメントの型を知識としてしっかり習得するというスタイルから、より実践的に本質を捉えようとする狙いを感じます。

価値提供ということが重視されるとの情報もあって、戦略立案から企業ごとの価値を定め、価値提供のためのプロジェクトの実行と運用を行わせようということだと推察されます。

第6版で言われていた10の知識

  • 品質管理
  • スケジュール管理
  • 原価管理
  • スコープ管理
  • 要員管理
  • コミュニケーション管理
  • リスク管理
  • 調達管理
  • ステークホルダー管理
  • 統合管理

のような基礎知識は、もちろんベースとしては必要で、このような基礎知識を持ったうえでさらに、実践できるようになるためのガイドにPMBOKも進化しようとしているように思います。

このことが示すように、プロジェクトマネージメントは実践し成功を勝ち取ることが何より重要だということがわかると思います。

また、企業が提供すべきは「価値」という考え方は、まさにフィリップ・コトラーのマーケティング3.0の考え方にも通じます。

マーケティングや戦略といったことも、プロジェクトマネージャーになるためには必要な知識であると言えると思います。

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トヨタのチーフエンジニア制度

トヨタのチーフエンジニア制度は、プロジェクトマネージャーの模範のようなものだと思います。

トヨタのチーフエンジニアは、製品のバリューストリーム、つまり製品を企画し、開発、生産、部品調達して顧客に届けるまでのすべて流れ、事業構造を設計し実行する責任を持っていると言われています。

さらにチーフエンジニアは、製品のシステム設計にも責任を持ち、開発を主導します。

売れる製品を作るために、ときには顧客の代表のような立場にもなり、技術的リーダーシップを発揮して、収益責任まで持つということです。

これだけのスーパーマンであって大きな責任を背負うかわりに、社内の人事管理は免除されており、組織上の部下はいないのだそうです。

チーフエンジニアと機能組織の管理職とが絶妙な関係を作ることで成り立つ組織なのかもしれません。

トヨタの理想的な形に比べると、トヨタ以外の多くの企業でのプロジェクトマネージャーは、顧客満足を第一にするのではなく、またシステム設計を担うわけでもなく、プロジェクトの管理と、プロジェクトの状況を経営陣に報告し、トップが願うQCDを管理する任務に集中することになります。

言い換えると、トップや組織が決めた製品のQCDを達成する責任を負わせて、収益や顧客満足への責任を負わせていないということです。

このことの是非はここでは深く論じませんが、いずれにしても製造業企業にとってプロジェクトマネージャーの責任は非常に重要であって、会社経営の中枢を担っているということです。

トヨタのチーフエンジニアは、初代クラウンの開発リーダーの中村健也さんがルーツと言われています。

寡黙で頑固な人で、技術にはひたむきであり続け、日本製の自家用車開発に執念を燃やし、寝る間も惜しんで本を読み続け学び続けた人だそうです。

人付き合いは上手ではなかったようで、周囲の人の助けもあり、日本製自家用車の幕開けともいえる初代クラウンの開発を成功させたのだと書籍などで紹介されていますが、この成功からチーフエンジニアという役割、存在意義がトヨタでは継承されてきたのだと思います。

参考記事:「トヨタのチーフエンジニア制から読み解く強い開発リーダーの育成法

実際に引き継がれたこの文化は、かつてトヨタで実際にチーフエンジニアをやっていた北川尚人さんの「トヨタ チーフエンジニアの仕事」という本で、内情を知ることが出来ます。

別記事「プロジェクトマネージャーのスキルで生きる道」でも紹介しています。

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プロジェクトマネージャーに適した資質

新卒の採用時に、プロジェクトマネージャーとなりたいという人は、私の経験では非常に少ないと思います。

こんな製品の開発をやりたいとか、こういう技術に関する仕事をしたいとか、技術者としての最初の一歩から始めたいという人が多いのだと思います。

あるいは、プロジェクトマネージャーという仕事をあまり理解していないか、その企業におけるプロジェクトマネージャーの地位とか重要性がわかっていないのかもしれません。

トヨタのチーフエンジニアのような、技術やマーケティング、生産、購買、営業とすべてにある程度精通するためには、それなりに学習や経験を積んでいかなければなりません。

他の多くの企業のプロジェクトマネージャー、つまり開発のQCDを守るリーダーであっても、やはり学ぶことは多いし、経験も重要です。

トヨタの場合でもトヨタ以外の多くの企業の場合でも、優秀なプロジェクトマネージャーを輩出し続けるためには、時間とそれなりの投資が必要です。

適任者を早い段階、つまり入社後出来るだけく早く選別して、集中的に育成することが望ましいと思います。

どうやって仕事の能力がわからない段階で適任者を選ぶべきか、これまで育った優秀なプロジェクトマネージャーを逆算的に見直してみると、以下のような条件で選別することが出来ると考えます。

  • 人の話を聞き取る能力の高い人
    • 人から何か説明を受けて、その後に的確な質問をする人
    • 矛盾や辻褄の合わないことを指摘できる人
    • 他人が言った何気ないことを良く覚えている人
  • コミュニケーション能力の可能性を感じる人
    • おしゃべりが上手ということではなく、無駄なく話を完結させられる人
    • 宴会の幹事などをソツなくこなせる人
    • 一つの話から、全く別の話に話題を広げられる人
  • 仕事をやり遂げる姿勢の強い人
    • あきらめずに最後までやろうとする粘りのある人
    • ネガティブな意見に抵抗できる人
    • チームで仕事を遂行しようとする人

これまで育てた優秀な人たちの顔を思い浮かべながら挙げてみました。

行動様式から書いてますが、実はこれらの資質は、

  1. ロジカルシンキング
    思い込みを排除して本質を見極める
  2. アイデア発想力
    広い視野で類似性からアイデアが発想できる
  3. マーケティング力
    自分視点と相手視点とを切り替える力

という能力の開拓に繋がっていくと思っています。

考え方が面白い、話がうまい、という理由ではなく、1~3のマネージメント職を全うする基礎能力を見抜いてください。

プロジェクトマネージメントは、いわゆるT型人間、つまり他人よりも秀でた得意な技術なりノウハウを1本持って、それ以外にジェネラリストとしての広い視野や能力をつけられる人が適任です。

トヨタのチーフエンジニアは、いわば究極のジェネラリストかもしれません。

技術、経営、マーケティング、生産、購買、営業、サービスというバリューチェーンを設計し管理するのですから。

片やトヨタ以外の会社のプロジェクトマネージャーも、技術、マーケティング、生産、購買くらいまではカバーしたいし、欲を言えば経営学の初歩くらいは身に着けて欲しいと思います。

そして、このような幅広い知識まで学ぶ覚悟と意欲まであれば完璧ですね。

参考記事:

トヨタのチーフエンジニア制度から読み解く強い開発リーダーの育成法

一流のプロジェクトマネージャーになるために学ぶこと

 

プロジェクトマネージャーを継続的に生み出す方法

 

基本方針

「やってみせ、言って聞かせてさせみて、誉めてやらねば人は動かじ」

という山本五十六の名言をご存知でしょうか?

プロジェクトマネージャーを育てるのも同じことだと思います。

名言の内容を順番に見ていきましょう。

  1. やってみせる
  2. 言って聞かせる
  3. させてみる
  4. 誉めてやる

やってみせる

現時点で社内に優秀なプロジェクトマネージャーがいるならば、その人たちを活用して育成する体制を作ることができます。

しかし、現時点のプロジェクトマネージャーが若手の見本となるには心もとない、物足りないという状況の場合は、一考が必要です。

優秀なプロジェクトマネージャーは、優秀な人がいなければ絶対に育ちません。

方法は2つです。

  1. かつて優秀なプロジェクトマネージャーの仕事を全うした役員クラスの方に出張ってもらう
  2. 外部のコンサルを雇う(弊社でもお請けできます。)

いずれも見本となるプロジェクトマネージャーを立てて、実プロジェクトを走らせ、若手をアシスタントとして付けて背中を見せることが最も効果的な育成方法です。

あるいは、1,2のいずれかが、フルサポートをする状態で、若手にプロジェクトマネージメントをやらせてしまうということも考えられますが、この場合は、ある程度経験もあって、半分くらい育っている状態でないと無理かもしれません。

背中を見せる、その良い背中を用意するのが最初のステップです。

プロジェクトマネージャーとして育てるとき、背中を見せることで覚えて欲しいことは以下のようなことだと思います。

  • ロジカルに考えて本質に迫る姿勢
  • 必ず自分の目で現場を見て判断すること
  • 仮説→検証を繰り返す仕事のやり方
  • 顧客との接点の作り方と顧客起点の実践
  • リスクの読み方、リスクヘッジを常に考えること
  • 仕事を楽しむこと

他にもあるかもしれませんね。これら伝えたいことを頭の中で考えるだけでなく、しっかりとノートに書いて意識しながら実施してください。

言って聞かせる

見て覚えろ、という部分は、文書にしたりするのが難しいものですが、体系的に伝えることもたくさんあります。

言葉で伝える、ということはある程度形にすることができ、教育プログラムにして同じ内容を伝える必要があります。

プロジェクトマネージャーになるために、必要な教育は以下のようなものがあります。

  1. 日程管理など管理ツールの使い方
  2. プロジェクトマネージメントの基礎知識(PMBOK)
  3. 製品開発手法(リーン開発、アジャイルなど)
  4. 戦略立案
  5. マーケティング理論
  6. ロジカルシンキング
  7. 最新のプロジェクト管理手法(CCPMなど)

会社によっては、PMBOKを使った教育に力を入れていて、PMP資格取得を推奨していたりしますが、個人的にはPMBOKだけでなく幅広く知識習得することが大切で、PMBOKはある意味、概要をしっかり把握していればいいように思います。

世の中に使われている製品開発手法やプロジェクトマネージメント手法などを学ぶことで、手法の手順ではなく、手法が使われる背景、つまり原理・原則を理解することで、実践力を身に着けることができます。

1~7の育成プログラムは、弊社でも提供することができます。

させてみる

どんな育成にも言えることですが、最も効率的な育成はOJTで、かつ本人が120%くらいの力を発揮することで目標達成できるような仕事をさせることが非常に効率的な育成といえると思います。

問題は、120%の目標を設定してリスクをとって任せる度量が、指導者の方にあるかどうかですね。

育成手順で、「やって見せる」と「させてみる」の2つは、指導者の力に依存します。

良い指導者、つまり組織にとってプロジェクトマネージャー育成の重要な種があるかどうかは、会社の将来を左右するものかもしれません。

実際にリスクをとってやらせてみることが出来るまでは、アシスタントとしていっしょに仕事を進めますが、アシスタントとしての過ごし方も非常に重要です。

指導者に依存しすぎると、親離れが難しくなります。

アシスタントでいる間に、部分的な権限責任の委譲をしていくことが大事だと思います。

この辺のノウハウは、文書などにして標準化することが難しいので、早い段階で複数の優秀な指導者を用意する必要があると思います。

誉めてやる

指導者からの日々の叱咤激励も大事ですが、正式なご褒美も育成には重要です。

プロジェクトマネージャーとしての仕事の価値を考慮して、本人の設定した目標とその結果に見合ったインセンティブを考慮するようにしましょう。

組織として、プロジェクトマネージャーの必要性が高ければ、プロジェクトマネージャーのインセンティブを高めることで、やりたいという人間を増やすことで、質の底上げも狙えます。

相対評価が主流の日本企業では、人事考課は社内での競争ばかりに焦点が当てられがちですが、高い目標にはインセンティブのレンジも上げること、社内の評価と外の世界との競争意識を考課に反映させるようにして、プロジェクトマネージャーという職種の地位を上がて行くことが大事だと思います。

 

プロジェクトマネージャー育成の仕組み化

優秀なプロジェクトマネージャー(PM)を継続的に生み出すためには、育成を仕組み化してポジティブなループを形成することが大切です。

  1. PM職の組織内の地位を上げる(なりたい人を増やす)
  2. PM職と専門技術者を明確に分ける
  3. PM職の適正者を早い段階で選別し候補者とする
  4. PM職の組織を作り、候補者に基礎教育を実施する
  5. 指導者を設定する(いなければ外部から調達)
  6. 指導者による模範プロジェクトでOJT
  7. リスクを取って独り立ちのチャンスを与える
  8. 成功したら高いインセンティブで報いる

トヨタのチーフエンジニア制度がうまく機能していて、継続的に優秀なチーフエンジニアを生み出していることは、トヨタが勝ち続けている大きな理由だと思っています。

フォードやGM、自動車産業以外の多くの製造業で、トヨタのチーフエンジニア制度を真似しようとしますが、形は真似できても実質的には真似ができていないと言われます。

プロジェクトマネージャーも、多くの会社で存在はしていますが、その質には大きなバラつきがあるのだと思います。

なぜトヨタでチーフエンジニア制が根付いたかというと、創業者(2代目社長)の豊田喜一郎さん自身の日本製自家用車への強い想いがあり、強いリーダーシップを発揮して、開発、生産の両面で強い組織の土台を作ったこと、そして初代チーフエンジニアの中村健也さん、リーン生産を生み出した大野耐一さんら喜一郎さんに続く現場リーダーの実績がトヨタのDNAとなり、それ以降の後継者が続いたことが原因と言われています。

強いリーダーは、強い組織の象徴でもあり、組織もリーダーも一朝一夕に出来るものではありません。

トヨタのリーン開発を組織ぐるみで展開し、業績を上げることに成功したアメリカのテラダイン・ベンソスという会社では、開発プロセスは5年で改革することに成功したものの、チーフエンジニアの育成は10年経っても道半ばだと言っています。

会社の業績に大きな貢献ができるプロジェクトマネージャーを輩出しつづけるために、トップのコミットと正しい仕組み化を進めていただきたいと思います。

 

参考記事:

フューチャーシップ開発プロセス革新の進め方と必要期間

リーン開発でアイデアを商品化する方法

プロジェクトマネージャーのスキルで生きる道

 

弊社では、製品開発革新、開発プロセス改革などを最後まで伴奏する形で支援しています。

開発プロセス改革や組織改革とリーダー育成は密接に連携する必要があります。

トヨタ式リーン製品開発がどんなシステムで有機的に機能しているか、それを支えるリーダーシップに必要なことは何か、そしてリーダーシップを継続的に生み出す文化はどうやって作っていくのかをいっしょに考えませんか?

ご興味がありましたら下記よりご連絡をお願いします。

こちらからご連絡させていただき、訪問、ないしZoom等での打ち合わせを設定させていただきます。

 

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