中小製造業の経営者の悩み
社員の士気低下、日程遅れが常態化、管理業務や雑用が80%、苦労して開発した製品が市場で評価されない、過去のトラブル対応に追われる、若手が育たない、などどこから手を付ければいいかわからない。
達成したいこと
- 既存事業を守りながら、新製品や新規事業を起こしたい。
- 社員の幸福と会社の成長を両立させたい
日米両国の複数の製造企業の開発現場を知り尽くした立場から、そのような疑問にお答えします。
本記事の内容
- 製品開発革新を支える5つの「考える力」
- 手法・ツールの本質を使いこなす
- 製品開発革新7ステップ・マニュアル
製品開発革新を支える5つの「考える力」
これまで多くの製造企業の開発部門の状況を見てきました。
共通して言えるのは、開発組織が疲弊する主な原因は、技術開発という行為が「考える」ことから「作業」をすることになってしまっていることだと私は確信を持つようになりました。
製品開発、技術開発と言いながら、既存事業を伸ばすという名目のもと、同じような製品を少しずつ改良(持続的イノベーション)しながら、売上、利益を維持していきます。
同じような製品は、大きなリスクを取らずに、決まったサイクルで確実に新製品を出していこうとするので、開発現場でも個人がリスクをとってチャレンジすることが出来なくなっています。
トップはどんどんチャレンジしなさいと口では言いながら、もう一方でしっかり高品質の製品を納期通りに出せとプレッシャーをかけます。
現場マネージャーや現場技術者は、とにかく今の製品を過去の製品をなぞるように、そして余計なことをしないで製品化することが正しいと思い込んでいくのです。
このような状況が例えば10年続いたとすると、10年前の新人がリーダークラスになり、同じことが繰り返されるだけでなく、本来のやり方を誰も知らない組織になっていってしまうのです。
製品開発をもう一度「考える」行為に戻すこと、つまり、「考える個人」と「考える組織」に立て直すことが、製品開発革新を進めるために、最初にやらなければならないことです。
開発者、そして開発組織に必要な「考える」力は、以下の5つだと考えています。
- 論理思考力
- マーケティング思考力
- 本質力
- 質問力
- 抽象化力
5つの考える力は、それぞれが密接に繋がっている場合もあります。
論理思考力
論理思考力を鍛えることは、製品の原理を因果関係でしっかり掴む力を養います。
論理思考力は、同時に自分の思い込みを排除し、物事の本質にたどり着く力を養います。
TOC(制約の理論)の問題解決フレームワークは、思考プロセスを作るところから始まるのですが、問題解決で問題の本質を掴むために、論理思考力は大きな力を発揮します。
※参考:「論理思考力強化セミナー」
マーケティング思考力
マーケティングというと、売るための仕組みのように考える方もいらっしゃるかもしれませんが、顧客を本当に自分の身になってストーリーとして考えることもマーケティング思考と言うことが出来ます。顧客も気づかない顧客が真に求めている潜在ニーズを技術者が考えることは、開発行為そのものを活性化させます。
コトラーのマーケティング3.0、4.0、あるいはクリステンセンのジョブ理論など、市場の多様性が急速に進む中で、マーケティングそのものも急速に進化しており、マーケティング思考を身に着けることは、技術者のスキル向上に欠かせないものだと考えています。
※参考:「マーケティング思考力強化セミナー」
本質力
論理思考と密接に繋がっていますが、人間は思い込みの塊のようなものだと私は思います。組織も社内の常識や特定の管理職の思い込みに縛られて、間違った意思決定がしばしば行われます。すべてのことに疑問を持つ癖を、個人と組織に着けることで、開発行為のなかでの思い込みを排除することが出来ます。
質問力
本質力とも関係しますが、氾濫する情報を鵜呑みにせずに、すべてのことに疑問を持つことが最初のステップ。そして、疑問に思ったら真実にたどり着くために、的確な質問を繰り返す力が必要です。
抽象化力
論理思考力を向上させることでいっしょに上がっていく能力ですが、物事を近視眼的に見ることと、大きく俯瞰してみることを自動焦点レンズのように自在に切り替える力をつけると、物事の本質にたどり着いたり、思い込みを排除することが出来るようになります。
さらに、抽象化力は、アイデア発想にも効果があり、技術課題をミクロに考えることから、高所から俯瞰して考え方の幅を広げる課題設定をすることで、全く異なる領域からアイデアを借りてくるという頭の使い方が出来るようになります。
アイデア発想は、KJ法、NM法、デザイン思考などがありますが、フレームワークはあくまでアイデアを出しやすい状況を作り出すことが目的ですが、それと抽象化力の向上を合わせることで、本当の意味でアイデア発想力を個人と組織で向上させることが出来ます。
手法・ツールの本質を使いこなす
個人と組織の考える力をつけることによる改革を進めながら、開発プロセスにも手を打っていくのですが、開発革新には様々な手法やツール、あるいは成功事例などがあります。
それらのどれを選ぼうという発想ではなく、まず、何をやりたいか、それに対して手法やツール、成功事例から必要なポイント、つまり本質的な要素だけを持ってくるという考え方が必要です。
弊社の製品開発革新コンサルティングで活用しているのは、以下の手法になります。
- トヨタ式リーン製品開発
- TOC(制約の理論)
- ジョブ理論
- デザイン思考
これらの手法やツール以外にも、フィリップ・コトラーのマーケティング理論、リチャード・ルメルト他の戦略理論、TAS式営業戦略、あるいは実際に経験済みの開発組織改革の経験から、必要なエッセンスを必要な場面に応じて活用します。
それぞれの手法の、活用パターンをいくつか紹介します。
リーン開発 – セットベース開発手法
トヨタ式リーン開発の中で、セットベース開発手法というのがあります。
これは、従来の開発初期に方式を決め打ちして開発するポイントベース開発と違い、方式やターゲットを初期に絞らずに、未知のことやチャレンジすることを学習しながら収束させていく考え方で、未解決の問題を設計に混入させないように、小さな単位で技術開発を進めてイノベーションを起こしていく手法で、小さな単位で学習するプロセスを導入することで、作業でなく、考える開発に戻していくこと、そして、開発途中の学習からの発見や発明によって技術者のモチベーションを高めていくという効果があります。
リーン開発 – A3報告書
トヨタのA3報告書は結構有名ですが、社内の報告書のフォーマットを変えるということではなく、社内の知識を会社の資産として残していく文化を作ります。
ベテランの持つ技術やノウハウを後輩にしっかりと伝える、あるいは社内に残す、ということをプロセス化することが出来ます。
また、A3一枚に読み手が欲しい情報、読み手にとって役立つ情報を凝縮しなければならず、書くための思考力強化にも役立ちます。
上司と部下の連絡としての報告書ではなく、上司と部下でブラシュアップして完成させ、社内い広く伝え残す報告書になるので、上司から部下への育成のツールにもなりえます。
TOC(制約の理論)
問題解決のフレームワークとして、組織内に起こっている様々な悪い症状から、それらの根本の原因を追究し、小数の根本原因で手を打つことでたくさんの問題解決をしていきます。
大事なところは、たくさんの悪い症状に対処療法をするのでなく、根本原因を追い詰める考え方を習得することです。
また、TOCを使って、個人の論理思考力強化として、TOC for educationというツールを使うこともできます。
ジョブ理論
クリステンセン教授の「ジョブ理論」が出版されて日本でもジョブ理論が注目されていますが、ジョブ理論という本にはフレームワークが提供されていないので、考え方は面白いし理解できるけど、実践のしかたがわからないという声が多いのも事実です。
弊社は、クリステンセンのジョブ理論だけでなく、UlwickのJos to be done手法や、ストーリー思考などのも組み合わせた独自のフレームワークを持っており、新規事業創出、事業アイデア創出などに活用しています。
デザイン思考
狭義には、いわゆるデザイナー、工業デザインというかモノの形を考える人のアイデア発想として、広義には顧客自身が気づかない課題に取り組もうという思想であると私は理解しています。
顧客の行動を観察しながら、顧客自身も気づかない課題を見つけてそこにアイデアを出していくということから、現場観察(=エスノグラフィー)を活用する企業も増えているようです。
顧客の日常における行動のなかで、顧客が当たり前だと思っている、つまり別に問題ないと思い込んでいる行動の中に、顧客が気づいていない課題を発見していくのです。
顧客の”思い込み”や”あきらめ”に気づくことで、課題を設定してアイデアを出していきます。
ジョブ理論で求めている顧客のジョブとも共通項が多く、本質的に同じかもしれません。
製品開発革新7ステップ・マニュアル
製品開発を革新する最初のステップは、考える個人を育てていくことを通して自ら考えて動ける組織を作っていくことです。
そして、実績のある手法、ツールや成功事例の本質を理解して、重要なエッセンスを自社の開発組織の中で実践していく手順を考えて実行します。
トヨタのリーン開発手法、TOC(制約の理論)、ジョブ理論、デザイン思考などの重要エッセンスを取り入れて、持っている技術を最大限に生かして新たな製品コンセプト、あるいは事業コンセプトを生み出し、利益を上げ続けて成長し続ける会社、社員の幸せと会社の成長を両立させるための、製品開発革新を進めるための7つのステップをまとめました。
人と組織を成長させつつ、イノベーションを起こす仕組み、無駄のないプロセスを作り上げます。
この考え方が、フューチャーシップ(株)の開発革新に関する基本的な考え方になっています。
製造業を儲かり体質に変える
- 思考プロセスを確立する
. – 何を変化させ、何に変化させるか?
. - 自社の強みを見つける20の質問とは?
. - 目標を立てる3つの異なる要素とは? - 問題の本質を捉える
. - 思考プロセスは社内のコミュニケーションツール
. - 問題の背景にある対立構造とは?
. - 対立解消図を作成する - 儲かり戦略を立てる
. - 儲かる、差別化、顧客視点のバランスこそ儲けの源泉
. - 一点集中、No.1を作りだす戦略とは?
. - 自社の価値を3秒で伝えるには? - 顧客の進化を先取りする
. - 顧客の進化を先取りするジョブ理論とは?
. - マーケティングの進化
. - 顧客が言わないことを聞き取る - 技術から事業を創る
. - 事業の失敗事例からみる戦略思考
. - アナロジー思考によるアイデア発想とは?
. - ダイソン発明の裏にあるアナロジー思考 - 開発のムダを排除する
. - トヨタの製品開発リーン開発を学ぶ
. - 知らないことを知るから始める手戻りなしの開発法とは?
. - 社内の知識を結集するA3報告書とA3マネージメント - 継続的に成長する
. - 学習サイクル、知識再利用を定着させる
. - トヨタのチーフエンジニアから学ぶ本当の技術経営とは?
. - ”喜び”に満ちた会社を創る
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