ジョブ理論の概念はわかったけど、どうやって実践するの?

ジョブ理論が新しいマーケティングの考え方として注目されている。クリステンセンの「ジョブ理論」を読み、事例を理解することで概念はわかったけど、実際に自社でどう展開するかフレームワークのようなものがあれば知りたい。

トヨタ式リーン開発とジョブ理論を組み合わせた独自の開発革新手法で、製造業の組織改革を実現してきた経験から、ジョブ理論から事業創出するフレームワークを独自に開発したので概要をお教えします。

 

本記事の内容

  • ジョブ理論を実践するためのフレームワーク
  • ジョブ理論フレームワークによる組織改革
  • ジョブ理論フレームワークの体験セミナー

 

ジョブ理論を実践するためのフレームワーク

ハーバードビジネススクールのクリステンセン教授の「ジョブ理論」の原タイトルは、”Competing against luck”、つまりイノベーションのほとんどは幸運の賜物ということで、幸運から脱却するための方法論としてジョブ理論は提唱されています。

もともとは、Anthony Ulwickという人が考えたものと言われていますが、Jobs to be done、略してJTBD法などとも呼ばれていました。

UlwickのJTBD法は、しっかりとしたフレームワークがあって、顧客が製品を使う状況をストーリーのように、細かいジョブステップに分解していきます。

この方法は、顧客のジョブに対して、顧客がどんな期待をしているか、ジョブに対する結果をどう評価しているかということをアウトカムとしてスコア化していきます。

各アウトカムの顧客にとっての重要度と満足度を2次元のマップにしていき、イノベーションのポテンシャルを見つけていくことから、アウトカム・ドリブン・イノベーションと呼ばれていて、アメリカの大手企業などで採用されたケースがあるようです。

基本的に、顧客のジョブということを手掛かりにするのですが、Ulwickの手法は、製品を意識しながらジョブを考えるという手法のため、製品とは関係なくジョブが存在するというクリステンセンの概念と少し差異があります。

クリステンセンの本を読まれた方はお気づきかと思いますが、この手法にはフレームワークが提供されていません。

たくさんの事例を読み解くことが、この理論の本質を理解し活用する道なのですが、フワッとした感じがすることも事実です。

Ulwick、クリステンセンの他にAlan Clementの書いた”When Coffee & Kale compete”という本もジョブ理論についての本ですが、こちらもクリステンセンと同じ系列でフレームワークはありません。

弊社では、2016年後半(ジョブ理論が日本で発行される前)から、アメリカで展開される複数のJTBD法を研究し、クライアント企業といっしょに学びながら、ジョブ理論のフレームワークを作り上げることができました。

詳細な内容はあまり公開していないのですが、さわりというか概要だけここではお教えしようと思います。

簡単にいうと、まず、UlwickのJTBD法で使うのと似ているのですが、顧客のジョブをストーリーのように細かいジョブの連続として定義します。

下図は、ローエンド3Dプリンタの購入を考える顧客のジョブステップの例ですが、「何かを作りたいと思う」「3Dプリンタを入手する」「使い方を覚える」「3Dデータを作る」・・・のように続けます。

Ulwickは、それぞれのジョブに対するアウトカムを定義しましたが、私どものフレームワークでは、各ジョブに対する世の中にあるソリューションを列挙していきます。

ジョブのストーリーと、そのジョブに対するすべてのソリューションがマップ化されます。(下図)

 

 

このソリューションマップを使いながら、様々なことが見えてくるのですが、3Dプリンタ事業を考えてこのマップを作ったのですが、このマップ上でソリューションの一つ一つが独立した事業になっています。

そして、複数のソリューションは場合によっては競合になるし、逆にソリューションが薄いところはブルーオーシャンになります。

もっと大事なことは、顧客の立場でジョブのストーリーを追ってみたときに、あるジョブへのソリューションが顧客にとって弱い、というかもっと強いソリューションがないと、3Dプリンタそのものを買う気になれない、つまり、事業全体への距離感を縮められない要因を発見することができます。

さらに、このソリューションマップから、下図のようにこの業界の事業構造がわかり、協業すべきポイント、競合するポイント、強化するポイント、参入すべきポイントなどがわかるようになります。

 

 

クリステンセンのジョブ理論の中に、顧客の進化への欲求(原本ではProgress)という言葉が出てきます。

上記で挙げた、ストーリー化したジョブステップよりも上位の概念として、顧客の内面にある上位のジョブをこのマップともつなげていくことで、イノベーションの確率を上げることが出来ると確信しています。

 

ジョブ理論フレームワークによる組織改革

事業のエコシステム(生態系)を考えたことはあるでしょうか?

市場の多様性、ITシステムの急速な進歩によって、製品単独では戦えない状況になりつつあります。

複数のソリューション(製品、サービス、インフラなどの組み合わせ)によって、はじめて顧客の満足が得られるようなことが、頻繁に起こっています。

製造業の中には、まだこの考えに追い付いていない(理解はしているが行動できていない)企業がまだたくさんあります。

弊社のジョブ理論のフレームワークは、顧客サイドからジョブストーリーを見ることで、顧客にとって必要なエコシステムを見せてくれるのです。

製品単体ですべての思考をしてきた組織や個人を、顧客サイドから事業全体を見渡して、協業や新規参入のチャンスを見ることは、組織にとって大きな進歩となり、競合企業への大きな差別化につながる思考をもたらしてくれます。

小グループのメンバーを組織して、ソリューションマップ→事業マップを作ることで、イノベーションの確率が上がるはずです。

 

ジョブ理論フレームワークの体験セミナー

弊社で開発したジョブ理論のフレームワークを実習で体得していただけるセミナーをご用意しています。

ジョブ理論だけでなく、マーケティングの進化、エコシステム(事業の生態系、連携)、デザイン思考の応用など、幅広い観点から顧客起点での製品開発、事業開発ということを見直して、マーケティング思考力を強化するセミナーです。

ここで、ソリューションマップを使った演習をしていただき、上記フレームワークを実践できるようになっていただきます。

セミナータイトル

マーケティング思考力強化セミナー

概要

  1. プロダクトアウトの限界、マーケティングの進化
  2. ジョブ理論による顧客起点への完全シフト
  3. 顧客観察と質問力で真の顧客要求を掴む
  4. ソリューションマップによるイノベーション演習

 

※ 個々にセミナーに参加いただくのでなく、組織全体、チームでの講習をご希望の場合は、下記、お問い合わせよりご連絡をお願いします。